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佐賀の朝に響く笑顔と声 — 8月13日 茅切りと盆綱作りの記録|福岡市夏祭り・地禄天神社

佐賀の朝に響く笑顔と声 — 8月13日 茅切りと盆綱作りの記録

福岡市早良区・地禄天神社福岡市夏祭りを根っこから支える一日。大人20名と子ども5名が佐賀の山へ入り、安全祈願から採取・運搬、境内での綱編み、婦人部の温かな振る舞いまで。一本の“魂の綱”が生まれるまでを、写真とことばで記しました。

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まだ夜の涼しさが残る8月13日の早朝。時計の針は午前5時を少し回ったばかり。空がゆっくりと白み始める頃、地元の人々が石橋商店に集まり始めました。今日の目的は、佐賀県まで足を運び、盆綱の材料となる茅を切り出す「茅切り」。この日集まったのは大人20名、子供5名。顔ぶれの中には、久しぶりに参加した人の姿もありました。

その久々の参加者は、これまでに作ってきた地域行事の記事や記録を目にし、心が動いたと話してくれました。「やっぱり、こういう行事は一緒にやらなきゃね」と笑う姿に、この祭りが人々の心を繋ぐ力を感じます。地域の歴史や行事は、単なる伝統ではなく、一人ひとりの人生の物語と結びついているのだと、改めて実感しました。

福岡市夏祭り・地禄天神社の茅切りに向け出発準備をする参加者たち(早朝の集合風景)
夜明け前の集合。眠気よりも期待の色が濃い。
佐賀へ向かうトラック2台と車列(福岡市夏祭りの準備・茅切りへ出発)
トラック2台と車6台、思いを乗せて佐賀の山へ。

山への礼(安全祈願)

到着後、まずは山の神へ礼を尽くします。お酒と塩で道具と足元を清め、全員で無事故を祈願。霧を含んだ朝の空気に手を合わせる音が重なり、背筋がすっと伸びます。自然に敬意を払い、その恵みを分けていただく—この所作が、作業のはじまりをまっすぐにしてくれます。

佐賀の山でお酒と塩を捧げて安全祈願する参加者たち
「どうか無事で」—祈り込めた想い
安全祈願を終え、装備を整える参加者の様子(福岡市夏祭りの準備)
準備は入念に。焦らず、慌てず、丁寧に。

茅切り(小さな背中も輝く)

茅切りの現場に着くと、辺り一面に広がる緑の茅が朝日を浴びてきらきらと輝いていました。大人たちは手慣れた手つきで鎌を振るい、次々と茅を刈り取っていきます。その傍らでは、小さな体で必死に手伝う子どもたちの姿。大人と同じように束を抱え、額に汗を光らせながら頑張る姿は、見ている大人の胸を熱くします。

子どもたちにとって、これは単なる作業ではありません。自分たちが運んだ茅が、やがて地元の祭りを支える大綱になるという誇りが、その小さな背中から伝わってきます。一本一本の茅に、自分の役割と地域の未来が重なって見えるのです。

霧の朝に並ぶ茅と参加者たち(茅切り開始前の静けさ)
霧の朝。静けさが、やがて動きに変わる合図になる。
子どもたちが茅の束を運ぶ様子(福岡市夏祭り・地禄天神社の茅切り)
小さな背中に、大きな誇り。未来の担い手が育つ場所。
刈り取った茅を束ねる手元の様子(丁寧な下ごしらえ)
刈って、揃えて、束ねて。丁寧の積み重ねが強さを生む。
刈り取りを続ける参加者の横顔(茅切り作業の最中)
呼吸を合わせ、鎌が走る。リズムは現場がつくる。

積み込みと帰路

刈り揃えた茅は紐でしっかり結び、2トン車へ。汗で濡れた額も、どこか誇らしげです。積み込みが進むほど、心は次の工程—盆綱作りへ。車列は再び福岡へ向かい、道中の静けさに、各々の胸の鼓動だけが高鳴っていました。

2トン車に山積みされた茅(福岡市夏祭りの材料・運搬風景)
荷台いっぱいの緑。この“素材の山”が一本の綱に変わる。
茅切りを終えた集合写真(充実の笑顔が並ぶ記念の一枚)
やり切った顔ほど、美しいものはない。

境内で始まる盆綱作り

神社に戻ると、すでに多くの方が境内で待っていました。「おかえり!」の声に迎えられ、すぐに盆綱作りがスタート。束を選び、芯を通し、ねじり、締める。「もっと締めろ!」「よし、そのまま引け!」—掛け声が重なり、綱はみるみる太く、強く。

境内へ運び込まれる茅の束(福岡市夏祭り・地禄天神社の盆綱作り)
運び込まれる束。ここから“編む時間”が始まる。
綱を編み上げる手元のクローズアップ(力と技の結晶)
手から手へ、力から力へ。綱は人をつなぐ。
テントの下で息を合わせる編み子たち(地禄天神社・盆綱作り)
影で支える段取りと声掛け。現場はいつも学びの場。
次々と積み上がる茅と編まれていく綱(作業の熱気)
素材の山が、一本の意思へと姿を変える。
芯を通してねじり上げる工程(強度を生む要)
強さは細部に宿る。要を外さず、丁寧に。

婦人部のおにぎりと続く力

節目ごとに、婦人部のみなさんが温かな差し入れを運んでくれます。塩気のきいたおにぎりが、疲れた体に真っ直ぐ届く。「もうひと踏ん張り!」という気持ちが自然に湧き、手がまた速くなりました。食は力。言葉にならない“応援”が、確かにここにあります。

婦人部が用意したおにぎりを受け取り笑顔になる子どもたち
一口で笑顔。おにぎりの数だけ、ありがとうが増える。

魂が宿る大綱と祈り

正午頃、ついに一本の大綱が完成しました。それは単なる縄ではなく、参加した全員の力、そして心が編み込まれた「魂の綱」。一本一本の茅の中には、この地域で暮らす人々の想いが詰まっているように感じます。仕上げにお神酒を捧げ、神前へ。頭を垂れる背中が並び、境内に静かな時間が流れました。15日の本番に向け、心も綱も固く結ばれます。

完成した大綱にお神酒を捧げ清める様子(地禄天神社)
大綱に宿る思いを清め、神前に捧げる。
神前で一同が深く一礼する祈りの時間
静謐な一礼。胸のうちに、来たる本番を描く。

地域の皆さまへ感謝

境内での作業を終えると、笑顔の輪が自然に広がっていきました。最後はみんなで集合写真。小さな手、大きな背中、離れていた人を呼び戻した記事、影で支える段取りの名人、そして温かな台所。どれが欠けても、この綱は完成しません。ここに改めて記します。

地域の皆さまへ — 朝の見送りから掃除、運搬、声掛けまで、本当にありがとうございました。

婦人部の皆さまへ — 最高のおにぎりとおもてなしで、現場に力を与えてくださいました。心より御礼申し上げます。

子どもたちへ — 君たちの一歩は、地域の未来の大きな一歩。今日の汗は、きっと誇りに変わります。

完成した大綱の前で微笑む参加者の表情(達成感のにじむ場面)
この一枚に、ふるさとの力が写っている。
境内での集合写真(地域の絆を記録する一枚)
来年も、またここで。約束のような記念写真。

明日へ、そして本番へ(初盆参り・盆押し)

明日14日は初盆参り。そして15日には、いよいよ盆押しの本番が待っています。この三日間は、単なるお祭りの日程ではなく、地域の歴史と誇りが凝縮された時間です。今回の茅切りと盆綱作りに参加した子どもたちも、きっとこの記憶を胸に、未来の担い手として成長していくでしょう。

私たちが今日紡いだのは、大綱だけではありません。笑い声や掛け声、汗と誇り、そして支え合う心が、確かに一つの「物語」となり、来年、再来年、その先の世代へと受け継がれていくのです。

次の予定:8月14日 初盆参り / 8月15日 大綱引き・盆押し本番。
地禄天神社の福岡市夏祭りに、ぜひ足をお運びください。

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